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推し活グッズはいま、なぜここまで広がっているのか? 市場データから見る企画のヒント
近年、「推し活」は一部の趣味ではなく、幅広い世代に浸透した消費行動として注目されています。グッズ制作の現場でも、アクリル系アイテムや缶バッジ、イベント向け商材などへの関心は年々高まっており、企業やブランドにとっても無視できない分野になっています。今回は、公開されている調査データをもとに、推し活グッズ市場の広がりと、これからのグッズ企画で押さえたい視点を整理します。
推し活は、すでに大きな消費行動になっている
財務省の広報誌「ファイナンス」では、15〜79歳の3人に1人が「推し」を持つとされ、推し活が若年層を中心に広く浸透していることが紹介されています。また、20代では女性45%、男性29%が余暇時間を使って推し活をしているという調査結果も掲載されており、日常的な消費行動として定着しつつあることがうかがえます。
さらに、推し活総研の2025年調査では、推し活人口は約1,384万人、年間の推し活市場規模は約3.5兆円と試算されています。1人あたりの年間支出額は平均25万5,035円で、公式グッズ、チケット、CD、遠征など幅広い項目に出費が広がっている点も特徴です。特に「公式グッズ」は主要な支出先のひとつとして挙げられており、グッズそのものが推し活体験の中心にあることがわかります。
グッズは「記念品」ではなく、体験の一部になっている
推し活グッズが支持される背景には、単に商品を買うだけでなく、「持ち歩く」「飾る」「撮影する」「交換する」といった行動がセットになっていることがあります。推し活総研の調査でも、公式グッズへの支出は高く、しかも前年よりお金をかけるようになった人が多い傾向が示されています。これは、グッズが単なる物販ではなく、ファン活動の満足度を高める重要な接点になっていることを示しています。
また、矢野経済研究所の2026年公表データでは、2024年度の「オタク」市場主要17分野のうち15市場が成長したとされています。アイドル市場は前年度比23.7%増とされ、アニメやフィギュアなど関連市場も成長傾向にあります。こうした周辺市場の拡大は、キャラクターグッズやイベントグッズへの需要が継続している背景としても参考になります。
これからのグッズ企画で大切なのは「持ちたくなる理由」
市場が広がるほど、グッズは「作れば売れる」ものではなくなっていきます。大切なのは、ファンがそのグッズを持つ理由が明確であることです。たとえば、アクリルスタンドであれば飾りたくなるデザインか、キーホルダーであれば日常で使いやすいサイズ感か、イベント商品であれば会場で写真を撮りたくなる見た目か、といった視点が重要になります。これは、推し活がモノの所有ではなく、体験や共有まで含めた行動になっているからです。
実際、推し活の消費は「推しに関わる時間をどう充実させるか」という方向に広がっています。そのためグッズ制作でも、単にロゴやビジュアルを載せるだけでなく、使用シーンまで想定した設計が求められます。バッグにつける、デスクに飾る、SNSに投稿する、イベントに持参する。こうした行動をイメージして作られた商品ほど、支持を得やすいと考えられます。これは各種市場データから見える消費傾向とも一致しています。
まとめ
推し活市場は、すでに大きな消費規模を持つ分野へ成長しており、その中で公式グッズの存在感はますます高まっています。いま求められているのは、ただ作るだけのグッズではなく、ファンの行動や気持ちに寄り添ったアイテムです。市場データを踏まえると、これからのグッズ企画では「世界観」と「使われ方」の両方を意識することが、より重要になっていくと言えそうです。



